カテゴリー:中小企業の法律問題アドバイス事例

中堅規模の企業から依頼人(中小企業)に渡された機密保持契約書のチェック

相談内容

中小企業の顧問先が、大企業系列の中堅企業と新商品・新サービスを開発する提携を開始することになりましたが、まず機密保持契約を締結してほしいと言われて、相手方制定の契約書を渡されたことから、渡された機密保持契約の内容についてチェックしてほしいと依頼がありました。

 

アドバイスおよび対応

内容を精査すると、大部分は問題ないのですが、何点か依頼人の立場からは公平ではないと思われる箇所がありました。具体的には、依頼人からの情報・ノウハウ提供が相手方からの情報・ノウハウ提供より多いと考えられるのに関わらず、成果物についての知的財産権他の所有権の帰属が、原則相手方となっていました。また、機密情報の定義・対象も限定されず、どこまで守られるのか不透明でした。

そこで、当方と相手方の取引上の力関係を考慮しつつも、相手方が受け入れられそうな条件を探りながら、公平な関係となる契約文言に修正し提案したところ、すぐに相手方からほぼ受け入れてもらうことができました。

 

コメント

ある程度大きな規模の企業には専門の法務担当者や顧問弁護士がしっかりとついているので、機密保持契約書などの定型文書はほぼ常備しています。もっとも当該契約書は相手方に一方的に有利にできていることも非常に多いので、安易に締結することは非常に危険で、内容の精査が不可欠です。

この時、弁護士による的確な修正文言の提案があると、相手方もその修正提案を受け入れる可能性が高くなるので、交渉の進展が早くなります。

 

お客様の声

相手方の立場が強い場合、言われたら全部受け入れないといけないと思っていました。先生が交渉に慣れているおかげで心強く感じました。また、先生のアドバイスで落としどころがわかり、交渉もうまく進み大変感謝しています。

 
 

新規取引先から渡された業務委託契約書のチェック

相談内容

受け取った業務委託契約書を見ると、依頼者に一方的にリスクがありそうで気になる条項がいくつもありました。 しかし、相手方は新規取引先で立場が強いので、力関係上大きく修正することができないとのことでした。 また、依頼者は従業員数十名の規模でしたが、専任の法務担当者が不在なので、どのように対処していいのか困って当方に相談されました。

 

アドバイスおよび対応

受け取った契約書の中で、依頼者の業務内容から判断してリスクが比較的に高いと考えられる箇所に絞って、契約書の修正を致しました。また修正した理由と根拠も丁寧に依頼者に説明し、相手方と交渉をしやすいように配慮したところ、結果として修正部分について相手方の了承も得ることができました。

コメント

依頼者の状況に合わせて柔軟な対応をすることがモットーです。 また取引相手方の納得の得やすいウィンウィンの修正提案を行うようにも心がけております。専任の法務担当者が不在でも、外部弁護士を上手く使うことで、安価に高品質の法律サービスを受けることが可能になります。

 

お客様の声

これまでは、相手から提示された契約書を、価格以外はほぼそのまま受け入れていました。先生の指摘で交渉すべき箇所が分かりました。交渉もうまく進みとても感謝しています。

 
 

未公開株の売買代金の未払い(水掛け論からの回収成功)

相談内容

未公開株の譲渡について、ある特別な事情により、依頼者は株式名義は先行して相手方に移転させたものの、その後肝心の売買価格が合意に至りませんでした。ところがその後買主は売買代金は現金で支払い済みであると主張し始めて、催促しても払ってくれません。何度か催促したところ相手方である買主が弁護士を立てて弁護士が内容証明郵便を依頼者に送付してきました。

 

アドバイスおよび対応

代金支払の有無と金額の合意の有無については、売主と買主の間で水掛け論になっている状況で、双方に決定的な証拠がありませんでした。そこで依頼者と何度も綿密な打ち合わせを繰り返して、できるだけ多くの間接事実と証拠を集めたところ、総合的には依頼者が相当に有利な状況であると判断しました。 その後相手方弁護士と面談して、当方が有利と考える根拠を論理的に説明したところ、3回の面談で相手方が依頼者が要求する売買代金全額の支払いに応じました。

 

コメント

裁判の8割は事実認定で決まります。 そこで事実認定のスキルの高い弁護士が綿密に事案を検討することで、相手方弁護士と迫力ある面談をすることができます。その結果相手方も自らの法的立場を理解していただくことが可能になるので、早期の問題解決につながります。

 

お客様の声

先生は、とても丁寧に時間をかけて経緯と事実をヒアリングされ、こちらの交渉プランを立案いただきました。その熱意にとても感謝しています。結局私が望む形で解決することができて本当に良かったです。

 
 

売買代金不払い(購入後の品質への難癖)に対する債権回収成功

相談内容

売買契約を締結し、依頼者は、相手方に商品も事前に念入りに確認してもらった後で引き渡しをしました。 しかし、そのあとで、相手方が機械の性能が期待ほど高くないと難癖に近いクレームをつけてきて、代金の残額半額を払ってもらえないとのことでした。 何度も催促しても払っていただけないので当方に相談に来られました。

 

アドバイスおよび対応

お客様の売買契約と引渡までの過程を丁寧にお聴き取りしたところ、当該クレームとなっている性能部分は当初より相手方も納得していたはずだと、客観的に立証的できると判断しました。さらにその性能不足(商品の瑕疵)自体も損害賠償(代金の減額)に値するほどの性能不足(瑕疵)ではないとも判断しました。そこで裁判に持ち込んでも有利な結果になる可能性が高いと判断して、その判断過程と根拠を具体的かつ詳細に記載した、弁護士名の内容証明郵便を買主に送付したところ、到着後すぐに買主から「代金全額を支払う」との回答を得ることができ、実際に入金していただきました

 

お客様の声

先生には、とても時間をかけて、丁寧に事実関係と私の主張の聞き取りをしていただきました。そして、先生が作成した内容証明郵便は、とても明快で分かりやすく私の思いをまとめていただいていました。相手も先生の作成した内容証明郵便を見て観念したらしく、すぐに支払ってきました。先生には感謝です。

 
 

破産債権の否認に対して査定申立を行い回収に成功した事例

相談内容

債務者が破産したが債務者に一定の資産が残っていたケースで、数社の債権者が債権の届出をしていましたが、破産管財人により、依頼人の債権に対して異議が出されてしまいました(依頼人の債権を認めず、配当もしないという決定)。依頼人の債権の正当性が認められると、破産財団から、債権額の数割程度の回収が見込まれた事案でした。
 依頼人と同種の債権を保有していた他の債権者も2社存在していましたが、同様に破産管財人により債権の否認をされていましたが、皆諦める様子でした。ところが、依頼人はどうしても諦めることができないとして、相談がありました。

 

アドバイスおよび対応

契約書および取引経緯を詳細に伺って検討すると、依頼人の債権には正当性が認められるべきであると判断しました。そこで、裁判所に破産債権の査定申立手続きを行いました。ビジネス取引の実情から判断して、依頼人の債権発生根拠たる契約には合理性が高いと判断したからです。破産債権査定申立書には、その理由をビジネスの常識に疎い破産管財人にもわかりやすく具体的に記載しました。 
 その後、破産管財人と数回の話合いを経て(破産管財人は、裁判官とも緊密に調整していたようです)、債権額の半分以上を認めていただくことで和解が成立し、すぐに依頼人に配当金額の振込もありました。依頼人と同種の債権を保有していた債権者は皆諦めて破産債権の査定申立をしなかったので配当を一切受けることができず、結果として、相対的に依頼人の配当割合が大きくなり、当初期待より多額の債権回収に成功できました。

 

コメント

他の債権者は、破産管財人から自分の保有する債権に対して異議が出されると諦めてしまいましたが、依頼人は諦めませんでした。そこで私は依頼人の気持ちを深く理解するために、契約の背景から遡って詳細に検討することで、依頼人に有利な根拠と客観的証拠を見つけ出すことができました。

本件ではビジネス取引に関する高度な理解力と、それをビジネスの素人である破産管財人と、破産管財人から間接的に事情を聞いている裁判官にわかりやすく説明する高度な説明力が求められました。

私は、ビジネス経験が乏しい破産管財人や裁判官に、ビジネスの難しい話をわかりやすく説明する能力に長けていますので、依頼人の話をよく聞いた上でベストな解決策の提案をしたことが有利な解決に繋がりました。

 

お客様の声

先生には、私の思いを分かりやすく書面にまとめていただいてとても感謝しています。結果にも満足しています。

 
 
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