試用期間終了時点での解雇をするための相談
相談内容
試用期間終了1ヵ月前の社員について、能力が期待に達していないので正社員登用が難しいが、正社員登用拒否にあたって、法的な問題が生じないように対応するにはどうしたら良いか相談がありました。
アドバイスおよび対応
経営者の中には、試用期間中は労働契約を解約する権利を保持しているのだから、気に入らなければ自由に解雇(本採用拒否)することができる、と考える人もいますが、間違いです。試用期間中でも労働契約は成立していますから、解雇や本採用拒否は自由にできるのではなく制限があります。(試用期間中でない)通常の解雇はハードルが相当に高いところ、試用期間中の解雇や本採用拒否はそれよりはある程度ハードルが低いという違いがあります。
そこで、正社員登用拒否にあたっては、事前に正社員登用が難しい客観的な理由を固め、本人に指導し改善の機会を与えることが重要です。
また、正社員登用拒否を伝える際のコミュニケーションにおいては、むやみに本人のプライドを傷つけることで紛争を引き起こすことは避けたほうが良いです。
退職にあたって必要十分な書面を徴求することも大事です
以上のアドバイスを、しっかりした準備のもとで実行したことで、紛争なく正社員登用拒否を伝え本人も十分納得の上で実施することができました。
コメント
試用期間後の本採用拒否は、裁判では簡単には認められない傾向がありますので、慎重かつ丁寧な対応が必要となります。是非早めの相談をお勧めします。
セクハラ発言が多いと苦情受けながら、本人には認識がない管理職への対応
相談内容
女性従業員複数から、セクハラ発言が多いと苦情がある男性管理職について、本人はセクハラ発言をしている自覚が全くなく、かつセクハラ行為の具体的告発まで至っていないケースについて、職場環境改善と将来の紛争予防のために対処方法の相談をいただきました。
アドバイスおよび対応
女性従業員らと当該男性管理職双方と個別に面談を実施し、双方の言い分を慎重に聞き取りました。
その結果、当該男性管理職の発言そのものは、「セクハラ発言」に近いが当該発言の現場ではそれまでの会話の流れから「冗談」と受け取られていたことが判明しました。しかし、その後別件で、当該管理職が相手方女性従業員を厳しく叱ったことを契機として、女性従業員にとっては、過去の発言を思い出して「上司からセクハラ発言を受けた」と認識が変わっている可能性が高いことも判明しました。
そこで人事担当者と協議して、当該管理職には管理職としての立場の自覚を強く促すとともに、その場では「冗談」と捉えられる発言であっても、後でセクハラ発言と認識が覆るリスクを説明し、社内では「セクハラ発言」に近い「冗談」を一切差し控えるよう注意し納得していただきました。
その後、社内で管理職向けのセクハラ研修を実施して、職場環境の改善にも努めました。
コメント
現場ではセクハラとまで認定できない苦情が多く存在します。しかし、「セクハラとまで認められない」と放置すると、将来の大きな紛争を招く危険もあり、かつ女性従業員のモチベーションも下がります。そこで、早めに問題の根本まで掘り下げた対応を取ることをお勧めします。
元従業員の弁護士から解雇無効を主張する内容証明郵便が届いたケースの対応
相談内容
能力不足によって退職勧奨し解雇した従業員の代理人弁護士から、解雇無効を主張する内容証明郵便が届いたので対応を相談致しました。
アドバイスおよび対応
受任手続きの後、元従業員の代理人弁護士に当方の受任通知を送付したのちに面談をしました。
その結果、相手方元従業員の主張には大きな事実誤認があることが判明しました。そこで相手方弁護士に客観的かつ論理的に元従業員の主張が訴訟で認められる可能性が極めて少ないことを説明し理解していただいたことにより、弁護士間の交渉のみで和解することができました。
コメント
裁判の8割は事実認定で決まります。 そこで事実認定のスキルの高い弁護士が綿密に事案を検討することで、相手方弁護士と迫力ある面談をすることができます。その結果相手方も自らの法的立場を理解していただくことが可能になるので、早期の問題解決につながります。