仮差押え

カテゴリー: 債権回収の法律知識

裁判を起こす前に、相手が相手の財産の使用・処分(売却や譲渡など)できないようにすることができる制度です。

つまり、裁判が終わった後で、相手方から確実にお金を回収するために、判決より前に、相手方の財産を仮に差し押さえる手続です。例えば、相手方に土地や建物、預金などの価値がある財産があったとしても、裁判(1年くらいかかります)の間に、土地や建物が誰かに売られてしまったり、預金が引き出されて使われてしまっては、仮に訴訟で勝っても、相手方からお金を回収することができなくなるおそれがあります。そのため、あらかじめ、相手方のそれらの財産について、売ったり、使われたり、隠したりできないようにするため、財産を仮に差し押さえるという手続です。

 

仮差押えの事実上の効果

相手にとっては、自分の財産が自由に使えなくなるので非常に大きなプレッシャーになります。

銀行預金であれば仮差押えされると信用問題になります(銀行から貸金返して欲しいと言われる可能性もあります)し、クレジットカードであれば、顧客がカード決済できなくなってしまいます。
このように相手の弱みをつく手段なので、自分の財産を仮差押えされてしまえば、訴訟を提起する前に、それまで支払請求を無視していた相手も交渉に応じざるを得なくなることもあります。

 

仮差押えの要件

仮差押えをするには、裁判官による厳格な審査で認められる必要があります。被保全権利(債権)の存在や、保全の必要性(仮差押をする必要性)など、法的根拠に基づき申立の正当性をしっかりと主張しなければなりません。

また、一定額の担保金を裁判所に納めることも必要です。担保金は債権の種類等に応じて裁判官が決定しますが、債権額の10〜40%くらいです。これは万一裁判で敗訴した場合、相手方に対して、仮差押えされたことについて損害賠償責任を負うことがあるので、そのための担保金です。

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