整理解雇とは
整理解雇は、判例では簡単には認められないので、慎重かつ丁寧な対応が必要となります。是非早めの相談をお勧めします。
整理解雇とは、会社の業績悪化により事業継続が困難になることを防ぐため、再建策として行われる人員の整理として、会社が労働者を解雇することいいます。つまり、「業績が悪くて会社が潰れそうだから、社員の一部を解雇する」ということです。通常の解雇(普通解雇)とは異なります。
整理解雇とき、従業員側にはなんらの落ち度がなく、会社側の都合による解雇なのですから、解雇のハードルは相当に高くなっています。この整理解雇の基準は法律で定めるのではなく、戦後の判例の積み重ねによって築かれてきました。
東京高裁は東洋酸素事件(昭和54年(1979年)10月29日)で以下の基準を示し、その後の実務で定着しています。今から40年近く前の判例です。
以下の4つの要素です。
1解雇の必要性があること(業績が悪化していることなど)
- 2 解雇を回避するための努力をしたこと(解雇以外の他の手段を充分に試みたか)
- 3 人選が合理的であること(解雇対象者を恣意的に選んでいない)
- 4 手続が相当であること(労働組合等に協議と説明をしたか)
仮に、要素の1について、本当に業績が悪化していたとしても、他の3要素を満たしていなければ、整理解雇が認められない可能性があります。
例えば、2の解雇回避努力とは、従業員の配置転換や給与賞与の削減、新規採用の停止、希望退職の募集など、整理解雇という手段に至る前に、相応の解雇回避努力をしたかということですが、それを満たしていない場合は、解雇が認められない可能性もあるのです。新規採用を継続している場合などは、2の解雇回避努力が認められにくい方向に働くでしょう。
以上のように、整理解雇は、判例では簡単には認められないので、慎重かつ丁寧な対応が必要となります。是非早めの相談をお勧めします。
「懲戒解雇の意義、要件、手続、退職金との関係」
「試用期間後の本採用拒否」